カミヒコウキ、トオクマデ。
+3+

夏が私を連れて来たのは
美術室の隣の空き教室。
美術室近くはあまり人が来ない。

「だいじょーぶ??」

教室に入るとすぐに夏はそう聞いてきた。すごいやさしい声で、涙が今まで以上に流れた。
私はつい夏に抱き着いて泣いた。香水のにおいがした。とても落ち着いた。
夏は私の頭を優しく撫でてくれた。「大丈夫だからね」優しい夏の声が聞こえた。

「・・・夏、夏」

私はいつの間にかに夏の名前をよんでいた。夏は「どーしたの??」と聞いてくれた。夏の声を聞くと安心した。

「佐奈ちゃん」
「ん」
「だいじょーぶ??」
「ありがとう」

私は、自分がいま夏に抱き着いていることを思い出し慌てて夏から離れた。
「ゴメン」と呟くと夏はお決まりの笑顔で「いーよ」と言った。
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