カミヒコウキ、トオクマデ。
夏に告白されてから一年。
私は夏に告白する。
生まれて初めての告白。
夏はあれからも
ずっと優しくて
ずっと近くにいてくれて
たくさん助けてくれて
たくさん二人で話して
私は夏を好きになった。
「夏が好きです」
声は掠れも震えもしなかった。堂々としていた。
恥ずかしくなって、俯いたら夏に抱き寄せられた。
「オレも好きだよ、佐奈」
耳元で囁かれた。
頬が暑くなる。
夏の腕のなかは安心した。
私は夏が好き。
私は夏の腕の中で
静かに目を閉じた。
◆
夏と付き合って二ヶ月。
破ったノートの紙で紙飛行機を作った。
教室の窓から
その紙飛行機を飛ばした。
遠くまで飛んでけ。
遠く遠くまで飛んでけ。
海が好きだった頃の
私を乗せて。
いつか海に伝えよう。
「好きだった」って。
「佐奈」
夏の声がした。
それだけで胸が弾む。
私は夏の責任な大丈夫と
夏の全てを信じてる。
夏が好き。
紙飛行機は
風にのり
遠くまで飛んでいった。
E N D