カミヒコウキ、トオクマデ。

夏に告白されてから一年。
私は夏に告白する。
生まれて初めての告白。
夏はあれからも
ずっと優しくて
ずっと近くにいてくれて
たくさん助けてくれて
たくさん二人で話して
私は夏を好きになった。

「夏が好きです」

声は掠れも震えもしなかった。堂々としていた。
恥ずかしくなって、俯いたら夏に抱き寄せられた。

「オレも好きだよ、佐奈」

耳元で囁かれた。
頬が暑くなる。
夏の腕のなかは安心した。
私は夏が好き。
私は夏の腕の中で
静かに目を閉じた。




夏と付き合って二ヶ月。

破ったノートの紙で紙飛行機を作った。
教室の窓から
その紙飛行機を飛ばした。

遠くまで飛んでけ。
遠く遠くまで飛んでけ。
海が好きだった頃の
私を乗せて。
いつか海に伝えよう。
「好きだった」って。


「佐奈」

夏の声がした。
それだけで胸が弾む。
私は夏の責任な大丈夫と
夏の全てを信じてる。
夏が好き。



紙飛行機は
風にのり
遠くまで飛んでいった。

E N D
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