記憶の足跡
私は、ベッドに戻った。
「ボー…」
ただ前を見つめることしか出来ない。

それはどうしてか?それは…
私が「全て分からない」から。

意味が分からない?・・・つまり
自分が「誰か」分からない。
そういう意味で__。


とりあえず、言葉は分かる。計算だって・・・
多分、中2の計算式まで。
じゃあ私は、中2?
…色々考えても、やっぱり分からない。

ここは病院みたい…。
私は病室にいる。一人部屋だ。

「どうしよう…」

ただ言えるのは、私が起きたことを
まだ、私しか知らないという事。だ。

人の気配を感じない。
看護婦さんもくる気配がない…。
自分から、ドアを開けて
出て行くことも出来る。
でも、すごく怖い。

誰も知らないなら気付かないなら…
このまま…
眠っていても…

そんなことが、頭をよぎった。





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