記憶の足跡
ある男の子に

「ここからうごくな!」

というような事を言われ、
途方に暮れた私。

とりあえず、従う事に。




しばらくして

「ガラララ…」

さっきの男の子が帰ってきた。
でも、様子が変。

男の子に続いて入ってきたのは
二人の夫婦だった。




男の子が言う。

「俺達、家族なんだ」

へぇ…。まぁなんとなくは
見てて分かる。
…で?


「それが…どうしたの?」

「え!?それが…?」


?何を言いたいか分からない。


すると、私たちのやり取りを
聞いていた男の子の母親が


「俺達の意味は、あなたも入れてよ」

と、言われた。
言われた言葉を繰り返してみた。


「…私も…?」


わ・た・し・…もぉー!?

「そっ、れは…。私はあなた達と家族と?」
「そういうこと」

男の子が言う。


「け・つ・え・ん・しゃ・?」
「そうよ」
母親が答える。


父の方も、軽くうなずいて
微笑んでくる。


頭の中で、いろいろな事が
うずまく。
一番大事な時に頭が回らない。

目が覚めたばかりだからかも…

…ん?

あ!一番大事な事忘れてた!!

私は、恐る恐る…その
3人の家族に聞いてみた。

「・・・・・・・あの…私って、記憶…障害
なんですか?」





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