☆★グリン・ピース★☆
家から数百メーターの

距離だが海っ端の雨風は強い。


足の悪い婆ちゃんを迎えに

カッパを着て家を出た。

雨になったら傘はどうせ

役にたたないだろう。


風の吹きすさむ中

少し前かがみに風を避けながら

海沿いの道を歩いていた。


ふと、海の方を見た。

いつもの穏やかな波は

大きくうねり

恐ろしく濁って見えた。


雨が降る前にホテルに着きたい。


その時だった。

誰もいないはずの荒れた海に

人影が見えた。


よく目を凝らして見ると

それは女の人だった。


頼りなげに風に飛ばされそうに

歩いている。


<危ないじゃないか・・・!>


思わず光は浜に下りて行った。
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