☆★グリン・ピース★☆
実麗の儚げな美しさに

見とれて何を喋っていいか

15の俺にはわからなかった。


ただ・・・

彼女の側にいた。


なぜなら雨に濡れた頬に

彼女の涙が流れるのを

俺は見ていたかったから・・・


俺は全く無力だった。


彼女はこんな台風の日に

故郷の海に何を

求めていたんだろう?


俺には彼女の東京の暮らしは

わからなかった。


俺には彼女の何も

わかりはしなかった。


その涙の理由も・・・

彼女は高く高く波しぶきをあげ

うねり叫ぶ海をじっと見て

泣いていた。
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