☆★グリン・ピース★☆
キラキラ光る波間が

夕陽の赤に染まり出した。


一番美しい時間が訪れようと

していた。


「私は、現実主義者だから

運命なんて信じないけど・・・

不思議なんです。

あの子を初めて連れて行った時

聞いたんです。

光君と葵君のお父さんが

誠也って名前だった事。

こんな偶然ってあります?

私びっくりしたんですよ。

まあ、彼への気持ちを

その偶然のせいにする訳じゃないけど」


凛は少し照れたように笑った。


夕陽が大きく眼前に迫り

最後の輝きを放って沈む瞬間に

居合わせたのも偶然だったのだろうか


女達は一瞬、その眩い美しさに

言葉を忘れて見入っていた。


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