先生?
 
「…ていうかさ」

「ん?」


よーちゃんはあたしの横顔に顔を近づけた。

もしかして、キス?


そう思っていると、よーちゃんの口からは「この人、誰?」という言葉が小さく聞こえた。



「えっと、川瀬先生。昨日から教育実習であたしのクラスの担任なったから」


あたしが簡単に紹介すると、先生はよーちゃんに向かって軽く頭を下げた。



「俺、咲帆の彼氏の楠 陽っす」

「僕は川瀬潤。咲帆さんの先生です」


いつも僕なんて言ってないくせに。


咲帆に“さん”をつけたのは、彼氏の前で呼び捨てはいけないと思ってくれたんだと思う。
 
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