異常
希望
 私は生まれて初めて希望を手にした。                              
 生まれてから一度も希望というものを目にしたことがなく、その存在を信じてはいなかった。                             
 いや、もしかしたら信じていた時期もあった。                          
 若い頃は希望と意志に満ち溢れていたが、いつも儚く消えていった。                            
 目に見えない希望は、脆く崩れ易い。                              
 そんな現実を知った私が、目に見える、可能性に満ちた希望と思えるものを手にした。                    

 子供を授かった。                           
 元気に泣く男の子だった。
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