異常
 男はそんな少女の姿を見て、歪んだ笑みを浮かべ、恍惚とした。体を震わし、サイドテーブルに置いてあるナイフを握り、少女を見つめた。                                            
「怒っていないよ。ただね、君は綺麗だから大事にしないと」                                            
 男は妙な言葉を口に出し、少女に近寄る。                                        
 ナイフが妖しく光る。                                     
 刃を何度も傷め、そのたびに研ぎ上げた、美しいまでに不気味に光るナイフを片手に近寄る。                                         
 微笑み、それとは裏腹に興奮したような吐息をつきながら。
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