異常
 少女は今、最大の幸福を得た。苦しみから放たれるという幸福に。                              男は少女を見て微笑む。                        
 それが最大の幸福を得た少女への祝福なのか、たた快楽を、コレクションを増やした満足感からなのかはわからない。                              
 わかっていることは、少女が動かなくなった今、これからまた同じようなことが "ここ"で繰り返されるということ。                              
 男が少女を見て微笑み、扉を閉じた。                              
「死が最大の危険である時には、人は生きることを希う。しかし、さらに恐るべき危険学び知る時、人は死を希う。こうして死が希望となるほどに危険が大きい時、その時の死ぬことさえもできないという希望のなさ、それが『絶望』なのである。」                                
 キルケゴール
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