蕾のまま…
父親
カランカラーン―――
エントランスのカネの音と共に今夜一人目のお客が来た。
「あっ!池ちゃん、いらっしゃ〜い!!
今夜はもう来ないかと思ったよ!」
「おっ!
セリはいつも可愛いなぁ〜!」
ここは田舎町にある小さなスナック。
お店のママは、あたしのママ。
常連の池ちゃんはいつも来るとあたしの頭を撫でる。
「もうっ!
子供扱いしないでって、いつも言ってるでしょ!」
あたしは思いっきり頬を膨らませた。