蕾のまま…
その男はアツシとか言う名前で、出会い系にこんなイケメンいるの?!
って、驚く位スーツの似合う爽やかな男だった。
「ズルいよマリ姉、さっさと出て行っちゃうなんて!」
あたしは手際良く荷造りしているマリ姉に抗議した。
「だって、この家は好きじゃないんだもん。」
マリ姉は手を休めることなくあたしの抗議を難なく交わしながら、高校の制服がシワにならないようにバッグに入れた。
「高校は通うの?」
あたしは部屋の隅に掛かっている、真新しい自分の中学の制服を見ながらマリ姉に聞いた。
「うん。アツシがちゃんと卒業するようにって言ってくれたからね。」