ぼくの太陽 きみの星
ママはこわばった表情で、あたしの顔をしばらくじっと見つめていたけど。

やがてあきらめたように言った。



「知らないの」

「……え?」

「あの人が今どこでどうしてるか、ママも知らないの」

「……」

「あのとき出て行ったきり、連絡もこないし、ママも探してないから」


「え、あのときって……」

「未怜が3歳のときよ」

「うそ……てっきり……」


意外な答えに、次の言葉がみつからない。



「え、じゃあ、養育費とかも、もらってなかったの?」

「うん、そう」

「そうだったんだ……大変だったんだね……」

「……」

「そっかぁ。

ごめんね、変なこと聞いて」


内心の失望を隠して、あたしはわざと元気に言った。


「さぁって、着替えて美容院行ってこよっと」


立ち上がってから、ふと思いついたことがあった。
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