ぼくの太陽 きみの星
「探すっていっても、どうしたらいいのかわかんないんだけどね」


あたしは肩をすくめた。


鷹耶は目を上げて、底なし沼のような瞳で物憂げにあたしを見た。


「そもそもなんで出ていったの?」

「……それも聞いてない」


というか、とても聞ける感じじゃなかった。



パパが出て行ってから昨日まで。

ママとあたしはパパの話をほとんどしなかった。


パパの話をしないことで、あたしたちは何もなかったふりをして、何とか均衡を保っていたから。



「どうして聞かなかったの?」

「……だって……ほら、そこは聞いちゃいけないような気がしたから……」

「……」


鷹耶は、小さくため息をついた。




「ねぇ。

お兄ちゃんは、お母さんと連絡取ってるの?」


もう一度同じことを聞いてみる。
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