ぼくの太陽 きみの星
知らず知らずのうちに、あたしは鷹耶を穴のあくほどみつめていたようで。

鷹耶は、そんなあたしをじっと見て、不意に頬を緩めてにっこり笑った。

作ったような微笑とは違う、はにかんだような自然な笑い。


(あ……)


仮面が一瞬だけ取れて、何か繊細なものが見えた気がした。


壊れやすい、ガラスのような。 


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鷹耶は実際、相当な有名人だった。


あの目立つ容姿に加えて、成績も常にトップクラス。

テニス部では、鷹耶の派手なプレーを見ようといつも女の子のギャラリーがいっぱい。



それに、何をしても憎らしいほど器用にこなす。


朝礼で何かにつけ表彰されるたび、「またあいつかよ」という男子のやっかみが聞こえてくるくらい。



まるで絵に描いたような優等生。


品行方正で、礼儀正しく、常に微笑をたたえた……



(こんな人、実際にいるんだね)


マンガの中だけかと思ってた。

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