ぼくの太陽 きみの星
鷹耶がよく自分でコーヒーを淹れてるのは知ってたけど、飲んだのはこのときが初めてで。

いじけてた心が突然ふわりとほぐれた。



「おいしい……これ」

「そうでしょ」


自分も壁にもたれて立ったまま飲みながら、鷹耶は涼しい声で当たり前のように言う。



「……体、冷えてたろ」


そっけない声だったけど。


お互い部活や何やら忙しいせいもあったけど、これまでほとんどちゃんと接して来なかった鷹耶との距離が一気に縮んで、初めて家族になった気がして。

あたしは何だかうれしかった。



やがて、鷹耶は空のカップを置くと、優雅にゆっくり歩いてきた。

ソファのあたしの隣にそっと腰を下ろしながら、軽くぽんとあたしの肩に手を置く。


「……持ってきてくれたんだな」


どこか疲れたような、ため息まじりの声。

あたしの手から空のコーヒーカップを奪ってテーブルに置く。


(……?)
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