ぼくの太陽 きみの星
横を見上げると、鷹耶がちょっぴり困ったように微笑んでた。

あきれ気味の笑顔だったけど。


初めて会ったときのような、どこか照れたような笑顔。


(あ――)


「傘。……ごめんな。気づかなくて」


はにかむように小声でそう言うと。

いきなり細い指であたしの顎をくいっと持ち上げた。

謎めいた黒い瞳で、あたしの顔をじっと見つめる。


「サンキュ……」


そう小声でつぶやく比類なく整った顔が近づいて……


閉じられた睫の影が、すぅっと白い頬に落ちた。



(え………?)



え゛え゛え゛え゛え゛



温かく、柔らかい唇。


首を傾けて、あたしの唇を吸い上げる。



手慣れたキス。
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