ぼくの太陽 きみの星
「未怜ちゃん、一体どうしたの」


未怜ちゃんの異様な様子を見た母さんが目を丸くして言う。


「うーん、ちょっと事情があって……」

「なんの」

「……簡単に言うと、失恋して立ち直れないってとこ」


母さんはそれを聞いて怪訝な顔をすると、ちょっとおどけてぼくを指さした。


「あんたの彼女じゃなかったの?」

「違うよ、ぼくは万年片思い」

「何あんた、フラれ……」


母さんの返事を急いでさえぎる。


「ねぇ、食欲が全然ないときにでも食べられて、できるだけ栄養があるものって何かな」

「うーん、アイスクリームとかかなあ。

水気が多くて、つるりんっと食べられるものなら大体いいんじゃないの。

プリン、ヨーグルト、果物、おかゆ……まぁアイスが一押しよ」

「わかったサンキュ!

ちょっと買い物行ってくる」


道の途中でケータイを取り出す。

家出事件のときに教えてもらった、未怜ちゃんのお母さんの番号にかけた。


「もしもし、城崎です、お仕事中すみません」

「ああ、琢磨くん……ちょっと待ってね……どうぞ」

「あの、未怜ちゃん、今ぼくの家にいるんです」
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