ぼくの太陽 きみの星
ぼくは相手の返事を待たずに続けた。


「未怜ちゃんとゆっくり話がしたくて……。

でも、今の状態では話もできなそうなんで、まずはしっかり食べてもらって、元気になってもらえたらって思ってるんです」

「……琢磨くん」


電話の向こうで、未怜ちゃんのお母さんは深いため息をついた。



「実はね、昨夜も、お医者さんに見せた方がいいんじゃないかって、主人と話してたの。

あたしたちに目も合わさないし、口も聞かないし、部屋に閉じこもりっきりで。

家でもほとんど何も食べなくて……

あんなにやせてしまって。

もうどうしたらいいのか……」

「そうですか…」


やっぱり家でも何も食べてないんだ。


「今の未怜ちゃんを、ぼく……見ていられなくて。

まるで、心がどこかへ行っちゃったみたいだし。

前の元気な未怜ちゃんに戻ってほしいんです。

そのために、できることは何でもするつもりです」


ぼくは真剣に話した。


「琢磨くん、ありがとう、未怜のことそこまで大事に思ってくれて。

あなたみたいな人が近くにいるのに、未怜はどうしてあんな鷹……」


ぼくは慌てて話をさえぎった。
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