ぼくの太陽 きみの星
「なので、今晩は遅くまで未怜ちゃんを引き留めるかもしれません。

場合によっては、明日も明後日も。

ちゃんとおうちまで責任持って送りますから。

何かあったらぼくの携帯まで連絡ください」


「わかったわ。

ありがとう。

あなたに任せる」




スーパー袋片手に2階へ駆け上がると、未怜ちゃんはさっき座らせたままの格好でじっとしてた。

相変わらず無表情のまま、視線はナナメ下あたりをぼんやりと眺めていた。

まるで人形みたいに。



西日に照らされたうつむき加減の横顔は、やせたせいか今までよりずっと大人びて、はっとするほどきれいだった。



「未怜ちゃん、これ食べる?

好きでしょ」


ぼくは袋の中からがさごそとアイスを取りだした。


未怜ちゃんが好きな、ハーゲンダッツのメープルクッキー。

デートのとき、よく食べてた。


未怜ちゃんは、それへ物憂げにゆらりと視線を向ける。


石のような沈黙。



(………)
< 217 / 295 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop