ぼくの太陽 きみの星
横の未怜ちゃんを振り返る。


「……どうする?」



未怜ちゃんは、唇を噛んで、今閉じたばかりのドアをみつめてる。


大きな黒い目がきらきら光っていた。

そのまま、ほんの少し後ずさりする。




もう帰ろう。


今の見たでしょ。



そんな言葉が喉から出かかっていたのに。




実際には、ぼくは、ひるむ未怜ちゃんの背中をそっと押していた。



「さ、行っておいで。

ぼくはここで帰るから」


「……ありがとう」


そう細い声で言うと。



ときどきぼくの方を振り返りながら。

とぼとぼ歩いていく未怜ちゃん。
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