ぼくの太陽 きみの星
「……まぁ、入って」



――今、一瞬ためらった?


あたしを部屋に入れるのを。




あたしを招き入れた部屋は、決して広くはなかったけど、新しくてきれいな部屋だった。

今までの無機質な鷹耶の部屋とは違って、どことなく華やぎがある気がする。



ベージュ色のソファの前のテーブルに、空のコーヒーカップが2客置いてあるのが目にはいった。


(あ、さっきの人の……)


鷹耶はあたしの視線の先に気づくと、何も言わずカップを下げた。



「座ってて。

今コーヒー淹れるから」



懐かしい、フレーバーコーヒーのよい香りが漂う中。

あたしはちょこんとソファに所在なげに腰掛ける。




「あ、やっぱり忘れてる……ったく」


鷹耶の小さな独り言に目を上げると。


女物の花柄のハンカチを手にして、ひらひらともてあそびながら。

どこに置いておこうかとでもいうように、部屋をきょろきょろ見回している。

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