ぼくの太陽 きみの星
「……実はさっき……お客さんが来ててね」



……来た。


あたしの体はこわばった。


「……うん」

「ちょうど未怜と入れ違いだった」

「うん……」


あたしは、鷹耶の次の言葉を待った。


なのに、鷹耶はそれきり黙って何も言わない。



あたしはたまらず口を開いた。


「実は、さっき下で見たの。

あの……赤い車に乗って帰って行くところ」

「やっぱりそうか。

そうじゃないかと思った」


鷹耶は納得したようにうなずいた。

うれしそうににっこりと微笑む。


「結構きれいだったろ」

「……………うん。すごく」


すごくきれいな人だった。
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