ぼくの太陽 きみの星
「……やけに神妙な顔して入ってくるからさ」

「……」

「あぁ、これは勘違いしてるなと思って」

「…………」

「マグカップとかケーキとか、いちいち難しい顔して眺めてるし」

「………………」

「それにしても、すばらしいタイミングで来るよね。

母さんがここに来たの、今日が初めてなのに」

「……………………」

「もうちょっと引っ張ろうかと思ったけど、これじゃそのまま帰っちゃいそうだったから」

「……………………………」




くっくっくっと肩をふるわせていた鷹耶は、とうとうこらえきれなくなったみたいで。

ソファにのけぞって、大口をあけてゲラゲラ笑い出した。


「……ねぇ」

「未怜はからかいがいがあるよね、面白すぎる」

「………ちょっと」

「ビデオカメラでも仕込んどけばよかったな」

「…………ちょっと、鷹耶」

「これだけで1年は笑えたのに」

「……………もうっ」


あたしはこぶしを振り上げて、鷹耶に襲いかかった。
< 272 / 295 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop