ぼくの太陽 きみの星
「いっそのこと、忘れちゃった方が楽になれると思ったから」

「……かわいそうに。

つらかったね」


体を寄せ合ったまま、しばしの沈黙が落ちる。



「ぼろぼろのあたしを助けてくれたのは、琢磨くんなんだ」

「……うん」

「だから、あたし、琢磨くんと………」

「……うん」


鷹耶は穏やかにうなずいた。


「何も言わなくていいよ。

あいつに未怜のこと頼んだのはオレなんだし」


「……」



ふとある疑問が浮かんで、あたしは鷹耶の整った顔を見上げた。


「……もしかして、琢磨くんは、鷹耶が出ていった事情を知ってたの?」

「全部話したよ」


鷹耶はあっさり言った。


「20歳までダメってことになって、いったん離れるって。

んで、それは未怜には言えないって。

オレには未怜が必要だけど、未怜のことは未怜自身にまかせるって」
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