ぼくの太陽 きみの星
「さぁって。

……そろそろ帰ろうかな」


もしかしたら、泣いて飛び出してくるかもしれないから――と、

ぼくはまだそこにぐずぐずして、帰れずにいた。



あれからそろそろ2時間近くたつ。

泣いて飛び出してくるのなら、とっくのとっくに飛び出してきてるだろう。



ぼくの出番は、今度こそ、もうなさそうだった。


よかったね、未怜ちゃん。



きっぱりと気持ちを切り替えるように、くるりときびすを返す。



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あのときから、あの人にはかなわないような気がしてた。

未怜ちゃんが家を飛び出した後、あの人が会いに来た、あのとき。



事情をひととおり説明した後、あの人は言った。


「……オレはこのまま出ていくよ」

「……」


とても家を出て行くとは思えないような、穏やかな口ぶり。
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