ぼくの太陽 きみの星
(一体どうしたの?鷹耶)


聞かれもしないのに、あたしは早口で続けた。

あたしが話せば、鷹耶も何か話してくれるんじゃないかと思ったから。


「よく遊んでくれたし、すごく優しかったのは覚えてるよ。

一緒にお風呂に入った記憶とか、公園で遊んだ記憶とか、あるもん」

「顔は覚えてる?」

「……ほとんど覚えてないかも……笑顔のイメージくらい」

「写真もないの?」

「ママが捨てちゃった」


鷹耶は小さくため息をついた。


「……どうして出て行ったの?」

「知らない。

ママは“パパはもう家には帰ってこない”としか言わなかった」

「……」

「最初は、あたしが悪いんだと思って一人でよく泣いてた」

「……それ以来会ってないとか?」

「……うん」

「……」

「今、どこでどうしてるかさえ知らない。

ママに聞いたら知ってるかもしれないけど」

「養育費とか、どうしてたんだろうね」


同じ痛みを抱えた鷹耶は淡々として、生半可な同情を示さない。

そこに、逆に癒やされる気がした。
< 34 / 295 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop