ぼくの太陽 きみの星
「ひどいね……ごめんなさい」

「……未怜が謝ることないよ」


感情のない静かな声に。

鷹耶の深い苦しみをかいま見たような気がして。


あたしはあわてて必死で話し続けてた。


「あの……お兄ちゃんのお父さんは立派な人だよね。

優しいし、頭もいいし。

ママが付き合ってる人がいるって聞いたとき、最初は拒否感あったんだ。

でも、会って、ああこの人ならいいんじゃないかなって思ったもん」

「……そうかもね」

「どうしてママが良かったのかなぁ?

3枚目キャラなのに」

「……さあね」


鷹耶はどこかうわの空でそう答えると、ベッドの上で身を起こした。



もう話はおしまい?


ねぇ、鷹耶。もっと話して!




鷹耶は、寝転がったままのあたしにやさしくキスすると、黙って部屋を出て行った。



(鷹耶……)



閉じられたドアを、あたしはいつまでも見つめていた。

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