ぼくの太陽 きみの星
「2年以上経って、もうずいぶん慣れたと思うけどね…。

でもやっぱりね、くつろげないっていうのはあるかもね。

ほら、トイレとかお風呂とか、やっぱり気になっちゃうよ」

「ああ、なるほどね」

「未だに何となくぎこちないしね。

他人と暮らしてるっていうか」

「そう……そうだよね」


琢磨くんは”わかるよ”とでも言うように、うんうんとうなずいた。


「でも、自分の部屋はちゃんとあるから」

「そっか。一人になれる空間があると違うよね」

「うん。でも……」

「でも?」



(お兄ちゃんが……)



言えるわけがない。



琢磨くんには。



「ううん、何でもない」

「……」


琢磨くんは不思議そうに少し首をかしげたけれど、それ以上追求はしなかった。


その代わり、あたしにすり寄ると、あたしの肩をそっと抱き寄せた。


「未怜ちゃん、かわいい」


ストレートな愛情表現に思わず頬がゆるむ。
< 42 / 295 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop