ぼくの太陽 きみの星
ふと気付くと、琢磨くんの手が制服のブラウスのボタンをぷちぷちと外してた。


「あの……琢磨くん?」

「……イヤ?」


手が止まった。


「お母さんが……」

「大丈夫、さっき買い物に行ったよ」


また手が動き出し、服を着実に脱がし始める。


「あの……待って!

やっぱりダメ!」


全部のボタンが開けられようとしたとき。

あたしはあわてて叫んで、手でブラウスの前をぎゅっとつかんでた。


「未怜ちゃん……」


琢磨くんは再び手を止める。

眉をハの字にして、悲しそうな顔。



琢磨くんたら、何でも顔に出ちゃうんだ。


いつも何考えてるのかわからない鷹耶とは大違い。


「ごめんね……イヤならやめる」

「……イヤじゃないの」


あたしは必死で言葉を探した。
< 43 / 295 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop