ぼくの太陽 きみの星
振り向かなくてもわかった。



――鷹耶。



登場シーンはいつもこんな感じの騒ぎがBGM。



そういや、クラスが変わってから、あたしの兄が鷹耶だって知ってる人も少ないんだ。



鷹耶自身はそんなのは慣れっこ。


「ちょっとごめんね」


笑みを絶やさず、貴公子然として、騒ぐ女の子たちの波を丁寧にかき分けて、こっちへやってくる。


「何しに来たのよ」


にらみつけるあたしにも、王子級のキラキラ笑顔。

ざわめく教室。


「何怒ってんだよ。

未怜、ほら、忘れ物」


あたしに、にこやかに紙袋を差し出した。



(――忘れ物?)
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