ぼくの太陽 きみの星
「ったくドジなんだから」


やさしくにっこり笑って、愛しそうにあたしの髪をくしゃくしゃっとなでた鷹耶は。

ちらりと横目で琢磨くんに視線を投げた。


口元が、面白くてたまらないとでもいうような、こらえきれない笑いで意地悪そうにゆがむ。

あたしにしかわからないくらい、一瞬だけ。



鷹耶、あたしたちの様子を面白半分で見物に来たんだ。

それとも、また何かたくらんでるの?


忘れ物なんて、ウソでしょ。



紙袋を覗き込む。


うまい棒 1本。



なにこれ。



鷹耶はあたしの反応を見て、ニヤッと笑った。



あたしの前の椅子に後ろ向きに腰掛けて、あたしの机に頬杖をつく。

見た目だけは少女マンガ的シチュエーション。


「”ありがとう”は?」

「……」


思わず唇を噛んだ。


「……ありがとう」

「はいはい」


いたずらっぽい笑みを浮かべて軽くうなずくと。

鷹耶は長い足で椅子をまたいで立ち上がった。
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