ネコ専務シリーズ2
その日は、猫たちが帰ってしまった後も
シロが「ニャーン、ニャーン」と甘えて
ネコ専務に要求を伝えようと努めてみた
ものの、

結局何の成果も上げることができな
かった。

しかしこれでは、ネコ専務の方も気が
収まらなかったと見える。

彼は茶色いワニ革のブリーフケースから
ケータイを取り出すと、

オレンジ色のソファにドカッと腰掛けて
足を組み、どこかへ電話をかけようと
した。

「ピッポッパッと・・あ! やっぱ
 やめ! こういうときにいっつも
 博(ひろし=ネコ博士)に頼ってた
 ら、面白くないものな。

 あいつにかけよっと」

ネコ専務がボタンを押し直し、相手が
出るのを待っている姿を、期待をこめて
見守っていたシロは、

「あ、住職さんに代わってほしい
 んだけど。私は住職の兄です」

という声を耳にして、なぜか急に安心を
感じた。








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