ネコ専務シリーズ2
ちなみにネコ画伯は「実存肉球主義」に
属しており、その中でも中核を成す
大芸術家である。

ネコ画伯自身、ハイデガーの哲学書
「存在と時間」を愛読しており、
なかなかの哲学者なのだ。


「ネコは肉球を最大限活用することに
 よって、平凡な日常生活に圧し込め
 られた偽りの姿を脱し、

 本来の無限の可能性を開くことが
 できるのである、ムニャムニャ」


寝室に入ったネコ画伯夫人は、先に眠っ
ていた夫の寝言を聞いたが、別に気に
しなかった。いつものことだからだ。

夫人は、その左隣のベッドに入って
自分もさっさと眠ろうとしたが、
その前に、

ちょっとずり落ちてしまっていたネコ
画伯のベッドの上ぶとんを、優しく
掛け直してあげたのであった。

            おしまい




< 145 / 208 >

この作品をシェア

pagetop