ネコ専務シリーズ2
「次の電話を待つしかありませんな。
 身代金の受け渡し方法の指示もまだ
 ですし」

周副社長は誰にともなく言った。天井
で、エアコンがブーンとうなっている
音が聞こえる。部屋の中の人々の、
緊張した汗のにおいが微かにする。

ちょっと間をおいて、中年の刑事の
ひとりが、

「怪猫10000面相は、その辺の誘拐
 犯のように、電話の引き伸ばしをして
 いたら何とかなる素人ではありません。

 身代金を支払う、と言っておいて、
 引き渡し現場の周辺に警官を大量に
 配置して取り押さえるのが一番かも
 知れませんな」

と言ったことをきっかけに、周副社長と
刑事たちは部屋の中央に集まって話し
合い、それがいいな、と合意した。

 
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