ネコ専務シリーズ2
「セトナおじさんの正体は分からない 
 けど、なんか面白い物語みたいだぞ」

「ほんと? 読んで読んで!」

それからしばらく、二人は冒険物語の中
へ入り込んでいた。面白い所では笑い、
危機一髪のシーンではドキドキしながら
ページをめくった。

おしまい、とアツキが言うとシュウは
キラキラした瞳で父親を見上げた。

「すごい楽しいお話だね、パパ」

「だろ?」

背後から声が聞こえ、二人はびっくり
して顔を上げる。話に集中していて、
いつの間にかセトナがすぐ後ろに来て
いた事に気がつかなかった。

「確かにすごく楽しいお話だが、人の物
 を勝手に持ち出すのは頂けないな」
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