ネコ専務シリーズ2
てんでんばらばらに逃げ出した猫たち
だが、こういうことを事前に想定して
あらかじめ決められていた集合場所に、
一匹また一匹と集まってきた。

「当分あそこは使わない方がいいな」

「また前に練習してた資材置場で
 歌おうよ」

「でも、あそこはもう家が建って
 しまったわ」

猫たちは次の練習場所について話し
合ったが、候補地の中に、来週の
練習に適した場所はないようだった。

「困ったな、僕たちの一番の楽しみ
 なのに。世知辛い世の中だよなあ」

シロの友人である灰色がかったオス
ネコ、ヴェリサウス・アニオノラーラ
が嘆く。

そうして何となくボンヤリ周囲を眺め
ていたヴェリサウスだが、視線がシロ
に止まったとき、「ああ、そうだよ!」
と呟いて目を黄色く光らせ、シロの
そばに寄ってきて言った。

「あのさ、君んちの専務さんの力を
 借りられない?」












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