COLORS【青】パープルA ─螺旋の選択─
「観念しな。お前の負けだ」
「……うっ」
さっきまでどうにかして逃れようとしていた彼女の手がピタッと止まったと同時に、力無くそのまま地べたにへたりこんだ。
「絶対に許せなかった、神崎が。だから私は受付嬢としてこの会社に入り込んだ」
「そこまでして……」
「あいつらは土地を勝手に買収しては、次から次へと新しいマンションや家を建てて高い値段で売っていた。私の家も神崎の圧力により大家が裏で取引してた。家を追われた家族の気持ちが分かるか?自分たちの利益のために、そんなことを日常茶飯事に行っている神崎を私は許せなかった。だから全部奪ってやりたかった、このビルもビルの中にいるヤツもあいつの子供も、付き人も」
「……どんな理由があろうとも、犯罪を犯した者は悪党なんだよ。あんたの中に罪の意識があるのなら、これからの人生、生きてそれを償う道を探すんだな」
「フッ……」
「一つだけ。あんたの名前、教えてくれないか?」
「……相沢若菜(あいざわわかな)」
「サンキュー、俺の中には留めておくよ」
「フフフ……おかしな男だ」
そう言った彼女の顔はなんだかとてもスッキリしているように見えた。
☆
「それにしても、なんであの時『青』を選んだの?」
非常階段をゆっくり下りながら、私は葵君に聞いてみた。
「お姉ちゃんの『青』だから」
私の『青』──?
青山藍の『青』。
「……そっか」
「僕ね、決めたんだぁ~大きくなったらお姉ちゃんと結婚するんだ!」
「葵君……」
私は彼の小さな手をぎゅっと握っていた。
「よっ!」
「れっ……廉!!」
階段を全て下り、非常階段の扉を出ると廉が笑顔で出迎えてくれた。
なんだか……、
ずっとずっと何年も会ってなかったような懐かしい心地。
そして──ホッとする。
どうしてなんだろう。
「何だ?泣いているのか?」
「そんなこと……」
あれ?
涙が──、
「……お姉ちゃん?」
涙が止まらないよぅ。
久しぶり声を上げて泣いていた。
葵君の手が私の髪をそっと撫でてくれた。
「……うっ」
さっきまでどうにかして逃れようとしていた彼女の手がピタッと止まったと同時に、力無くそのまま地べたにへたりこんだ。
「絶対に許せなかった、神崎が。だから私は受付嬢としてこの会社に入り込んだ」
「そこまでして……」
「あいつらは土地を勝手に買収しては、次から次へと新しいマンションや家を建てて高い値段で売っていた。私の家も神崎の圧力により大家が裏で取引してた。家を追われた家族の気持ちが分かるか?自分たちの利益のために、そんなことを日常茶飯事に行っている神崎を私は許せなかった。だから全部奪ってやりたかった、このビルもビルの中にいるヤツもあいつの子供も、付き人も」
「……どんな理由があろうとも、犯罪を犯した者は悪党なんだよ。あんたの中に罪の意識があるのなら、これからの人生、生きてそれを償う道を探すんだな」
「フッ……」
「一つだけ。あんたの名前、教えてくれないか?」
「……相沢若菜(あいざわわかな)」
「サンキュー、俺の中には留めておくよ」
「フフフ……おかしな男だ」
そう言った彼女の顔はなんだかとてもスッキリしているように見えた。
☆
「それにしても、なんであの時『青』を選んだの?」
非常階段をゆっくり下りながら、私は葵君に聞いてみた。
「お姉ちゃんの『青』だから」
私の『青』──?
青山藍の『青』。
「……そっか」
「僕ね、決めたんだぁ~大きくなったらお姉ちゃんと結婚するんだ!」
「葵君……」
私は彼の小さな手をぎゅっと握っていた。
「よっ!」
「れっ……廉!!」
階段を全て下り、非常階段の扉を出ると廉が笑顔で出迎えてくれた。
なんだか……、
ずっとずっと何年も会ってなかったような懐かしい心地。
そして──ホッとする。
どうしてなんだろう。
「何だ?泣いているのか?」
「そんなこと……」
あれ?
涙が──、
「……お姉ちゃん?」
涙が止まらないよぅ。
久しぶり声を上げて泣いていた。
葵君の手が私の髪をそっと撫でてくれた。