イミテーション・リング
第三章 淋しい気遣い。
「ねぇ、結局何おねだりしたの?!」
「コートとブーツ♪」
「いいなぁぁ!社会人の彼氏持ちはさすがリッチだよねぇ」
「フッフッフ!まぁねぇぇ、で、バイトに精出すお子ちゃま彼氏には何お願いしたの?!」
「なんかシークレットなんだってぇ。当日、楽しみにしてなっ!ってさ!」
「へぇぇ、いいじゃん!」
最高の笑顔でクリスマスプレゼントの話で盛り上がってる美樹と真理香の前で私は無言でお弁当を頬張っていた。
「あっ、そうだ!この前、隆司(たかし)に奈緒の事話したら会社の同僚、紹介しようか?!って!ねぇ、一度、会ってみようよ!」
「それなら私も勇二(ゆうじ)に話したらバイト先にすっごくいい奴がいるって!」
「えっ?!いっ、いや…私は…その…今は別に彼氏とか…全然…考えてないって…言うか…」
話の矛先が急にこちらに向いた為、慌ててお茶を飲む。
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