イミテーション・リング
人込みをかけわけながら走る二人が急に止まり、両手を掴まれてる私はもう少しで背中にぶつかりそうになった。
「アレ、絶対そうだよ!」
「へっ?!…な…何が…絶対って?!」
息も絶え絶えに背後から声をかける。
「小池ちゃぁぁぁん!」
「おーい!小池ぇぇ!」
「ええぇぇ?!うわぁぁ!」
ドキリと鳴り出す鼓動と同時に二人は私の両手を掴んだまま一斉に走り出した。
(うわぁぁ!今日、寝坊して髪も適当だし服装だって…)
私の複雑な気持ちなど知る訳ない二人が小池に手を振り近付いて行く。
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