イミテーション・リング
小刻みに震え出す身体から感覚が消えていく。
自分が立っているのか座っているのか…足が麻痺したみたいにわからない…

(やだ…小池…助けて…)

ゆっくり、男に視線を移す。
真理香と美樹からの質問攻めを笑顔ではぐらかす男…
でも…一瞬、笑顔が消え、困惑した顔の男と視線が合う…

(もう…ダメ…涙が…)

「ご…ごめん!私、お母さんと買い物の約束してたんだ!」
「えっ?!ちょっと奈緒!」
真理香と美樹の呼ぶ声にも振り向かずその場から走り出した。


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