~ババアとあたし~
今まで溜まっていた涙が、いっきに溢れ出したんだと思う。


止めることができなかった。


後ろに立っていた由加が、そっと病室を出て行くのが見えた。


気をつかってくれたんだろう。


「あんたが眠ってる間、ずっと考えてた」


ババアが口を開いた。


「いつからあんたと私、こんな風になったんだろうって。―――原因はひとつしかないわよね。父さんと離婚した時から、少しずつ私たちの関係がおかしくなっていったんだわ」


「・・・」


「生きていくためにはお金が必要で、私はあんたをほったらかしで朝から晩まで働いてた。家に帰る頃、あんたはいつも寝てたわね」


ババアは小さく笑って、


「かまってやれなくても、あんたならきっと分かってくれるって思い込んでた。―――でも、違ったのよね。気づいた時にはもう、私たちの間にできた溝は修復できないものになってた」


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