~ババアとあたし~
「昔のこと・・・か」


由加は砂浜にゴロンと寝転がった。


夏の海は、見ているだけで落ち着く。


あたしも由加の横に並んで寝転がった。


「あたしらも幼かったよね。親の一言に泣いたり、怒ったり・・・喜んだり。今となっては懐かしい」


由加は遠い『あの頃』を思い出すように、目をつぶった。


あたしには、思い出せない。もう忘れたよそんな記憶。


いや、忘れたんじゃない。自分で捨ててやったんだ。


思い出したくもない、戻ってこない過去なんて。



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