あの頃の穴
「朝ゴハンいらないよ」 「じゃ牛乳だけでも飲んで行きなさい」「あたし、牛乳飲めないんだよ」 「あらそう」 「行ってきます」 「行ってらっしゃい」 さっきまでのわくわく感は消え去り、何かが重くのしかかる。毎日一緒にいて、牛乳飲めない事も知らない。そういうものなのか。 「里亜ちゃ~んおはよう!起きれたね。一回あたしン家の方行って見よう」 「お、おはよう。行こっか」 二人は学校とは反対方向へと歩き出した。まだ生徒の姿はない。仕事へ向かう大人達、人、人… 「あっそれっぽい!」 「二人組だ!よし追跡だ!」 二人は距離を近付けようと走り、かなり近付いたのだがー。 「…やっぱ、若葉ちゃんの家の方だね」「うん。もしかしてこの近くに何かある!?」 「うぅ~何かを掴めそうですねぇ」 二人はさらに近付き、追跡をした。 「あれ?今中学生の男の人がうちに入って行ったような…」 「え、お客さん?ってかストリートは??」 「いない!消えた?うっそー。とりあえずうち覗いて見よう」 二人は若葉の家に行き、仕事に出る所だった父に聞いた。 「お父さん今お客さん来たでしょ?」 「いいや?誰も来てないよ。それより時間大丈夫?」 「そろそろ行こう若葉ちゃん。遅刻だ」「そうだね。再び行ってきます、お父さんも行ってらっしゃい」 「はい。二人とも気を付けてね」 二人はとぼとぼと学校へ歩き出した。いいところまで行って煙に巻かれた二人はしつこいが諦めなかった。 下校時、追跡するでもなく、二人は若葉の家へ向かった。 「若葉ちゃんの家寄っていい?計画練り直しっつか」 「もちろんいいよ。あたし達、いいところで取り逃がしてるよね」 「そうだよねぇ」 若葉の家に着き、ランドセルを置いた。なぜか里亜は若葉の家に来るとトイレに行きたくなる。落ち着くのだろうか。 「トイレ借りるね」 「どーぞ」 里亜は用をたし、