可愛いなんて大嫌い。
 完全に相手のペースになっている。葵はいいようにからかわれていた。



 昼休みになり、葵とみーちゃんは食堂へ向かった。

 味噌ラーメンが食べたい葵は麺の列へ、カレーが食べたいみーちゃんはご飯の列へそれぞれ並ぶ。

 私立でもない限り中学校に食堂はほとんどないので、最初は物珍しいのだ。

「葵の隣の奴学年主席だったんだが、みーちゃん知ってるか!?」

 ラーメンをすすりながら葵は話し始めた。

「普通に知ってるぞ。矢神光だろ? あいつ可愛いって校内に噂が広まってるからな」

「そーなのかっ!? 全っ然知らなかったぞ!」

「お前鈍いもんな。噂なんて興味ねえだろ」

「よくわかってるな……ってそうじゃなくて!! 葵はその矢神が嫌いだ!」

「……」

 みーちゃんは無反応で黙々とカレーを食べ続ける。

「何か言ってくれっ!!」

「いや、葵の嫌いな奴とかどーでもいいし。あたし関係ねえし」

「でっ、でもあいつすっごく憎たらしいんだぞ!」

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