可愛いなんて大嫌い。
「そうするわ。自己紹介が遅れたけど、私は3年で部長の綾小路桜です。あなたは料理部期待の新星だわ!」

 そんなものになる気はなかったが、

「頑張りますっ!」

 とついついノリで答えてしまう葵であった。

「さて、今日は美味しいものが渡せそうだわ」

「誰にですか?」

「そうね。葵ちゃんには協力してもらったし、私についてらっしゃい」

 なんだかよくわからないまま、葵は綾小路先輩のあとを付いて行った。



「ここですか……?」

 着いた先は学校のグランド。グランドでは運動部がちょうど活動中であった。

「どこかしら? ……あっ、いたわ! あそこよ」

 そう言って何故かサッカー部のいる所に連れて来られる。

「おおっ!! 桜ちゃん、今日の差し入れは何かな?」

「今日のは絶対美味しいはずよ! 紹介するわ。私の恋人の須藤くんよ。3年でサッカー部の部長ね」

 葵は須藤と呼ばれる先輩を、下から上へと食い入るように見ていた。

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