可愛いなんて大嫌い。
「誤解されたらとっても困るので言っときますけど、葵はこの男が大嫌いです! 冗談でもやめてください! 失礼します」

 そう弁解すると葵はさっさとグランドを去って行った。

「……女の子って怖いな。お前あの子に何かしたのかっ!?」

「何もしてないですよ。特には。それよりサッカー部辞めていいですか?」

「バッカ野郎ー!! お前がいなかったらどうすればいいんだ!!」

 自分にすがり付く部長を見て、矢神は思った。

(この人、なんかウザい)

「せっかく入ったんだし続けましょうよ」

 するとさっきのマネージャーがタオルを持ってやって来る。

「いや、でもオレは陸上部に入る予定だったんですけど……」

「大丈夫だ矢神! サッカーも陸上も運動は全て一緒だ!」

(一緒じゃないし。バカじゃないの?)

 一応向こうは先輩兼、部長でもあるので表には出さないが、矢神の脳内で須藤先輩はカス同然であった。

「部活は個人の自由だし強制はしないけど、一緒に頑張りましょうよ?」

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