可愛いなんて大嫌い。
第2話 勝負は勝たなきゃ意味がない!
 3日後。待ちに待ったこの日が来た。(葵だけ)

 葵の勝利がもうすぐ手に入ると思われるテストである。

 テストなんてものを楽しみに待っている奴は葵ぐらいしかいないだろう。

 そんな葵の気合いは朝から尋常ではなかった。

 洗面所で髪の毛を結び終えると、薄気味悪い笑顔で

「今日は記念すべき日になるに違いないぞ!」

 と鏡の前の自分に話しかけていた。

 バカを通り越して大バカなのだ。



 学校に着くと早速1限目からテストが始まり、みんな必死で答案用紙に向かっていた。

(こんなもの葵の手にかかれば余裕すぎて話にならんな)

 こんなに自分に酔っている葵はとりあえず50点以下にでもなればいい。

 しかしシャーペンを動かすスピードはその後も衰えることなく進んでいった。

 昼食をはさんで全てのテストが終わる。その頃になると生徒達の顔からは生気が消えかけていた。

 1日を丸々テストに使ってしまうと人生を損した気分になるからだ。

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