可愛いなんて大嫌い。
「みーちゃん帰ろー」

 自分の勝利を確信している残念な少女葵は、上機嫌でみーちゃんに話しかけた。

「お前の余裕そうなその顔うぜえ」

「いやー、葵はあのテストで勝利を確信してしまったからな」

「あたしは勉強が嫌いなんだよ! このガリ勉が! テストなんかしたあとにはイライラしてやってらんねえよ」

 そう言いながらみーちゃんは、日頃のうっぷんを晴らすかのように、葵のほっぺたを引っ張った。

「いいっ、いだだ!!」

「この野郎ちょっと出来がいいからって調子にのってんじゃねえぞ!」

「ごめんなざいぃぃ!!」

 みんなが思っていたことを、みーちゃんが代弁してくれている。

 さすが元ヤンは強い。そしてそんなみーちゃんに葵は一生逆らうことが出来ないだろう。

「みーちゃんのせいで葵のほっぺたが伸びたではないか! どうしてくれるのだ!」

「アホか、伸びるわけねえだろ。お前めんどくせえ。あたしら友達解散するか」

 その言葉を本気にしたのか、葵の顔は真っ青になった。

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